客室乗務員用シート

アプリケーションの詳細説明

課題：

某欧州大手航空機メーカーは、身体の不自由なお客様が機内トイレを利用しやすくなるように、キャビンスペースの設計をよりフレキシブルに変更しました。客室乗務員用シートを折り畳み式にして、離着陸時以外の飛行中は折り畳んでおくことで、機内トイレ前のスペースを広くすることができます。シートに内蔵される機内通信機器には電源が必要ですが、従来のコイルケーブルやフラットケーブルは邪魔になるばかりか、破損しやすいという欠点もあったため、よりエレガントなソリューションが求められました。さらに、少なくとも18万サイクルの平均故障間隔（MTBF）を確保することが必要でした。

ソリューション：

LTNは、スリップリングSC020をベースに、コンパクトなソリューションを開発しました。スリップリングに回転継手を使うことで、耐摩耗性の高いメンテナンスフリーな回転ケーブルジョイントを実現するというものです。機内通信の電力やデータの伝送はスリップリングが担います。航空システムの欧州規格EN2591に準拠しており、同メーカーの小型・中型旅客機に標準搭載されています。

このスリップリング・ソリューションにより、邪魔なケーブルはなくなりました。また、スリップリングが超小型設計のため、電子部品はすべてコンポーネント内に配置されます。IP保護等級68に準拠したスリップリングは、衝撃や振動に非常に強く、18万回のサイクル（揺動）に耐えられることが実証されています。また、内部のテフロンケーブルには抜けや断線を防ぐ工夫も施されています。スリップリングの電気的特性（接触抵抗、絶縁性、ノイズ）および-55℃から+85℃までの使用温度範囲から、フライトクリティカルなシステムでの使用が認められています。すでに試作品の段階から、外部の試験機関が航空機規格に基づく広範な試験を重ねた製品です。